君たちはどう生きるか、スタジオジブリの宮崎駿監督作品が2023年7月14日公開。
https://www.ghibli.jp/info/013753/
2023年7月14日(金)に、スタジオジブリの最新作「君たちはどう生きるか」が公開されました。
宮﨑駿監督12本目の劇場用長編映画であり、前作「風立ちぬ」以来10年ぶりとなるそうです。
スタジオジブリ公式サイト内の『野中くん発 ジブリだより」2023年7月号』に少し情報が載っています。
- 2017年5月19日(金)宮﨑駿監督の新作長編制作に向けての新人スタッフ募集を発表
- 2017年7月3日(月)メインスタッフに向けて宮﨑監督が自ら「君たち」の作品説明〝開所式〞実施
- 翌8月には作画イン、制作は本格的にスタート
- 同年10月、宮﨑監督は公開対談の中でタイトルを披露
- 作画インから数えて足掛け7年、遂に公開日を迎える
まっさらな状態で映画を観て欲しいという思いから、今回、宣伝をほぼせず、情報もほとんど出さないできました。皆様、「君たちはどう生きるか」を、ぜひ劇場でご覧下さい。
とのことです。
https://www.ghibli.jp/info/013753/
【ここからネタバレ注意】「君たちはどう生きるか」を観た感想。
スタジオジブリの宮崎駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」を観てきました。
※ここからはネタバレしていますので、ネタバレを見たくない方は絶対に続きを読まないで下さいね。
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感想を言うのが難しい映画です。
一言で言いますと、「俺はいったい何を見せられているのだろう…」という感じかも知れません。
ただ、だからと言ってつまらない訳ではなく、しっかりとしたファンタジー?冒険を感じる?アニメーション作品です。
公開後、声優を務められた方の情報や主題歌の情報を貼っておきます。間違いがありましたら訂正致しますね。
- 山時聡真さん
- 菅田将暉さん
- 柴咲コウさん
- あいみょんさん
- 木村佳乃さん
- 木村拓哉さん(特別出演)
- 竹下景子さん
- 風吹ジュンさん
- 阿川佐和子さん
- 滝沢カレンさん
- 大竹しのぶさん
- 國村隼さん
- 小林薫さん
- 火野正平さん
作画監督は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズなどで知られる本田雄さん。
音楽は久石譲さん。
タイトルは、吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』から
主題歌は、米津玄師さんの「地球儀」です。
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作品の感想と言いますか、まず第一に、アニメーション作品として強すぎます。
もう、大感動です。大感激です。
自分は素人ですが、アニメーションの表現や描写が本当に素晴らしいと感じました。
本当に凄いと感じる画的な強さがあります。
絵や背景、物の造形、作画やキャラクターの動き、音楽、主題歌がとても良いです。
そういう所は、やはりスタジオジブリの映画だと体で理解できる強さです。
宮崎駿監督やスタジオジブリの独特の絵の動かし方?やキャラクターの動き方?なども、自分は素人ですが、宮崎駿監督の作品だと強くわかるアニメーション映画だと思います。
もしかしたら、監督以外の方、違う方が動かしている画なのかも知れないのですが、それでも宮崎駿監督作品、ジブリ作品だと体が理解してしまいます。
誰にも真似できない、唯一無二の強さを感じます。ずっと見ていたい気持ちにさせてくれます。
なので、クリエイターの方や、何かを創作されている方、何かを表現されている方は絶対に見ておいた方が良い作品だと強く思います。絶対に見て下さい。
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個人的には、作品のテーマに「次の時代への伏線」のような、そういうのが見て取れました。
説教的なものではなく、もっと根源的な"願い"のようなものです。
クリエイターというのは、全く別々に創作していても同じ時代の作品は同じようなテーマになるんだな、と感心したりしました。
例えば、庵野秀明監督の『シン・エヴァンゲリオン』や、新海誠監督の『すずめの戸締まり』にも、同じようなテーマを感じました。それぞれ監督の考えていることが根底で繋がっており、表現の仕方が違う、という風にも感じました。
それは過去作品の「風立ちぬ」「シン・ゴジラ」「君の名は。」でも感じた事です。
作風的には、宮崎駿監督の後半の作品、千と千尋の神隠し、崖の上のポニョ、風立ちぬ、に雰囲気は似ていると思います。
その作風にファンタジー要素や冒険的な要素が入っています。
誰が悪役で、誰が善い役で、という分かりやすい感じではなく、自分自身の中に悪もいれば善もいる、みたいな感じだと言えばなんとなく作品の全体像が見えてくる感じがあるでしょうか。
結構な部分で、観客側に答えを委ねているように感じる作品だと思います。
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そうなんだと思うのですが、いかんせん、分かりにくいです。
もしかすると、難解映画と言われてしまうかも知れません。
特に説明もなく、重要人物が出てきて話し始めたり、泣き出したりします。
その時に、一番最初に書いた「俺はいったい何を見せられているのだろう…」という気持ちになってしまうかも知れません。
その不思議な感覚で客席が覆われても、絵や作画の表現や描写で押し切って行く、みたいに感じる方もおられるのではないかと思いました。
中でも特に、自分は火の描写の全てが大好きでした。
マジでカッコ良すぎです。
それだけでもう一作品作って欲しいぐらいでした!笑。
という訳で、どちらかと言えば、分かりやすい話のほうの作品が好きな方は、つまり、宮崎駿監督の初期作品のような、もう一つの宮崎駿監督の部分が好きな方は、少し思う所がある作品かも知れません。
あーそっちで来たか、、そっちだったか、、みたいな。
冒険活劇とはいえ、ナウシカやラピュタみたいな、もっと派手派手で分かりやすい冒険活劇だったらよかったのに、、みたいな感じがあるかも知れません。
僕もそう感じる所はあります。
ただ、ラピュタぶりかな?に男の子が主人公なので、そういう面白さは確実にあると思います。
逆に、宮崎駿監督作品、スタジオジブリ作品全般の雰囲気が大好きな方は、ばっちりハマる方もいらっしゃるのではないかと思いました。
なぜなら、君たちはどう生きるかの映画の中に、過去の宮崎駿監督作品を思わせるような描写が多々あるからです。
新しい作品から古い作品へ向かっていっているようにも感じました。が、そうじゃないかも知れません。
過去のジブリ作品を見たことがある方だと、あっなんか見覚えある!、というような場面が多々あるのではないかと思います。
さらに、キャラクター的にはジブリ作品を感じる可愛いマスコット?や、ヒロインぽい登場人物、主人公の男の子もいわゆる尊い感じだと思います(ショタ的に強い?)。
そういうキャラクターも出てきますので、そういう面白さはかなりあるのではないかと感じました。
主人公の男の子が母を想う場面やその言葉などは強く情緒を感じますし、何より、ある意味では、ジブリ作品一のかっこよさ?なんじゃないかと思います。
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そのキャラクターや世界観に合わせて、宮崎監督と息子さん(宮崎吾朗さん)、鳥は鈴木敏夫プロデューサーに重ね合わせた方もいらっしゃるかも知れません。
例えば、作品内の異世界はアニメを創る場所、現実世界は普通に暮らす場所、のような感じです。誰かにやって欲しいけど崩壊するならそれもいいか、のようなイメージもあるかもでしょうか。
空想だけでは生活できないみたいなイメージもあるかも知れません。
息子さんは現在アニメ監督ではなく、現実の世界に戻っておられるように見える、と思いますので、さらにそういう風に感じる方もおられたかも知れません。
そういう所から、別世界と現実世界を繋ぎ、次になんとか繋げていこうとする物語のようにも感じました。
ざっくり言いますと、本作品は、現実世界と別世界(過去や天国地獄)を行き来するような物語だと思うのですが、それを自分に当てはめて感じられるか、感じられないかの受け取り具合もあると思います。
だとしたら、お話的に難しくなるのも理解できるような気もします。
自分の事として物語を感じられない場合は、ただの難しい異世界物語になってしまう可能性もあるのではないかと思いました。
ラスト付近ももっと分かりやすく、ここからは次の世代が現実的な世界を作るべきだ、過去ではなく現実を見るべきだ、と言ってしまえば楽なのでしょうが、そういう簡単な話なのではないように思いました。
僕は総じて、宮崎駿監督はやっぱり創作や空想が大好きなんだと感じた映画でした。
ずっと、これからも、アニメーションを創りたいと強く思っていらっしゃるように感じました。
同じように創作や空想が大好きな人たちが沢山います。
それも宮崎駿監督は分かっておられるのではないかと感じました。
そういう優しい作品でもあると思います。
僕は優しい人が大好きなのです。
だから例え、現実に戻っても、悪意があっても、悲しみがあっても、そこが地獄であっても、大好きな場所をなくしたいとは思わないのではないでしょうか。
過去から持って来れるものもあるでしょうし、現実的ではない世界もその人にとってはとても大切な場所である場合があると思います。
この辺りは、見た方によって想うことや感じることが全然違う感想になるのではないかと思いました。
終始、全然まとまっていない感想ですみません。でもそういう風に感じてしまう作品だとも思います。自分も、もう少し考えがまとまるようだったら、追記などするかも知れません。
そう意味で、いわゆる考察しがいのある、非常に趣のある、興味深い、面白い作品だと強く感じています。
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最後に、僕が感じたことを包み隠さず書いておきますと、
僕は、風立ちぬの里見菜穂子さんに会いに行っているように思いました。
それは、僕が望んでいたことでもありました。
だから、僕はこの「君たちはどう生きるか」という映画が好きです。
ただし、単純で分かりやすい面白さで言えば、ジブリ美術館で上映されている宮崎駿監督の短編作品「毛虫のボロ」の方が面白いと感じました。(今も上映されているか、いつ上映かなど不明です。公式サイトはこちらです)
実際にジブリ美術館で見たのですが「毛虫のボロ」には「君たちはどう生きるか」には少ない、昔のジブリ作品が持っていたような分かりやすい面白さも入っているように思いました。
「君たちはどう生きるか」の面白さは、過去作品や、今までの宮崎駿監督作品を見てきた人が、積み重ねを感じられる感情の幅によって、何よりも、何倍にも、面白い作品になっていくように思いました。
言葉が合っているのか分かりませんが、決して悪い意味ではなく、宮崎駿監督が自分で作った自分自身の同人作品的なような、やりたかったことを詰め込んだ誰にも邪魔されないインディーズ作品的なような、そんな作品のようにも感じました。(だから事前に広告などを全くやらなかったのかも知れませんね)
だからこそ僕は、ありがとうございます、と言いたいです。
僕は好きです。
なんか、映画を見ている間、ずっと、すごく嬉しかったです。
だからこそ僕は、もう一回、何度でも、ここから始めて欲しいと強く思いました。
ここで終わりなどあり得ないと思います。絶対にあり得ない。
確かに実際にこの映画を見て、今までの総括のようにも感じましたし、次の世代へ渡す何かのようにも思いました。
宮崎駿監督の最後の作品になるのではないか?というような噂?も幾度も耳にします。
僕はそんなの絶対に嫌です。
この作品が宮崎駿監督の最後の作品になるのは絶対に嫌です。
長編でも、短編でも、数分の超短編でもいいです。
宮崎駿監督の次作、新作を強く望みます。
僕は、この作品が始まりの物語に思えてしょうがないのです。
無茶苦茶だった頃の自分を重ね合わせているのかも知れません。
僕は、宮崎駿監督の作品を若い頃に見て衝撃と感銘を受け、共に成長して来ました。
僕は何者でもないただの人ですが、それでも、受け取ったものが数え切れないほど沢山あります。
同じようにこの作品でも、宮崎駿監督がどう生きていて、誰に会いたくて、どう次の世代に何を渡そうとしているのか、しっかり考えて行きたいと思います。
この作品の主人公のように、素直になれたり、ちゃんと謝れたり、そういう人になりたいと思います。
でも、分からない事や、分からない場所があるからこそ、生きていたい、知ってみたいと思うのでしょう。
まさに「君たちはどう生きるか」もそういう作品なのでしょう。
僕にはまだ、宮崎駿監督作品が必要なのです。
以上、「君たちはどう生きるか」の感想になります。
長文乱文、最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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ちなみに、2018年に公開された短編アニメーション『毛虫のボロ』からは5年ぶり、だそうです。『毛虫のボロ』もすごく面白かったです。感想はこちらです。