【ネタバレ注意】「思い出のマーニー」の感想

2014年7月29日

【ネタバレ注意】「思い出のマーニー」の感想

思い出のマーニーを見に行って来ました。

スタジオジブリの米林宏昌(よねばやしひろまさ)監督作品です。

面白かったです。いや、面白いとはまた違う感じかも知れません。

いわゆるジブリファンタジーとは違うような感じだし、分かりやすいキャラクターが出てくる訳でもないので、すごく小さな子供たちにはちょっと難しさが残るかもとは感じました。杏奈やマーニーと同じ、小学生の高学年ぐらいだったら多分、大丈夫だと思います。

僕は大好きです。思い出のマーニー。

ネタバレしていますので、注意してくださいね!

これから見ようと思っておられる方は、こんなブログなんかここまでにして、今すぐ劇場に行って下さい。ほんとに。

 

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最初からキツかったです。

少し泣きました。

アンナの存在を認められるかそうでないかで、かなり評価が分かれそうな気がしました。

 

僕は、杏奈(あんな:短い髪の子)が持ってる暗い雰囲気が大好きですので、むしろ、後半の元気になる感じに違和感がありましたが、それは好みだし、思い出のマーニーという物語上そういうものなんだろうと自身を納得させました。

ただ、何となく、元気になったけど、性格は暗いまま、というほうがよかったなと思いました。

 

杏奈は、信子(のぶこ:杏奈の療養先にいる同世代の女の子)にいきなり酷い事を言って、結局最後までたいしたフォローもないんですが、これが正直、自分にも思い当たる節があって、勝手にめちゃくちゃ心が痛みました。

杏奈は信子に本当に悪い事をしたと思います。

 

これはもしかすると、"杏奈"ではなく、"アンナ"がそうしてしまったとも言えるかも知れません。

 

アンナの状態をうまく言えないのですが、出来るだけ自分に当てはめ言葉にしようと試みると、多分もう、めちゃくちゃなんだと思います。

クソみたいに自分勝手でめんどくさい人間なのは自分でも痛いほど分かってるんですけど、もう、ほっといてほしい。

今すぐ極度に一人になりたいというか、一生考え続けたいというか、誰にもコントロールして欲しくないというか、空気を揺らさないでほしいというか、なんというか。

アンナも同じ気持ちだったかどうか、本当の所は分かりません。

同じ頃の僕は、アンナとは違って両親もそばにいてくれたし、周りのみんなもすごく優しかったんだけど、心も頭もなんだかめちゃくちゃで。

だから、アンナもそんな感じなのかな、とかなり勝手に痛みを感じてしまいました。

つまり僕は、アンナの気持ちが分かるんじゃなくて、アンナのような子は今も現実にいるんじゃないかな、と感じたのです。

それは、可哀想とかじゃなくて、冒頭でアンナが語る、自分は"外側"にいるという事実を自身で強く感じてしまっている状態なのかと。

 

それは、過去の、あの時の、僕のことなのかもしれません。

そしてそれは、杏奈の存在と同時に、アンナの存在も認められるというか。

 

信子には怒鳴りに行ってくれるような家族がいつもそばにいるけど、アンナは自分にはそんな家族はいない、というようなことを、ひたすら数限りなく考え続け感じ続けてしまっているのだと思います。

それでも杏奈はいつか、信子にしたことの大きさに、失ったものの大きさに苦しむかも知れません。

杏奈はマーニー(金髪の女の子)を許しても、信子には許されないでしょう。

杏奈であろうが、アンナであろうが、あなたはあなたでしかない、のだから。

 

劇中、信子はアンナに「あなたはあなたでしかない」というようなことを言います。

それは、酷く僕を揺らす言葉でした。

そう、僕は、一人しかいないのです。

今も昔も、そして、これからもずっと一人です。

 

信子も救えるように物語を導くべきなのかもしれません。

愛が足りないと言われれば、そうなのかもしれません。

逆に、子供なんて人間なんてそんなもんだ、と言える勇気があればいいんですけど、僕にはそこまでの勇気がありません。

 

すべてが、僕の勝手な思い込みなのかもしれませんが、やはり、ここのアクションだけは他と違ってどうしても引っかかったので、僕の勝手な想いを書きます。

時空や物質を超えて現実を知ってもなお、"内側"と"外側"の差は圧倒的なものなのだと、僕は感じてしまっています。

だから、これからの杏奈もとても心配ではありますが、それでも僕は、杏奈のすべてを肯定すると思います。

 

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同時に僕は、アンナの思い出、つまり、マーニーの存在も認めたいです。

マーニーは、アンナのそばに、ちゃんとそこに存在していて、アンナはちゃんと、肌のぬくもりだったり、息づかいだったり、生や性を感じている。

つまり、マーニーはアンナの想像上の人物などではなく、実際に出会っている、ということかと僕は感じています。

ようするに、現実と空想が入り乱れている物語ではないと僕は思います。

いや、想像なのか空想なのか現実なのか真実なのかどうかなんて、そんなのどうでもいいんです。僕にも思い当たる節があるんです。

原作を読んでいないため、実際どういった扱いなのか分からないのですが、思い出のマーニーは、時空(祖母)や物質(人形)を超えたところでちゃんと触れ合えたというファンタジー、という建前の超現実的なドキュメンタリー、なんじゃないかと僕は感じました。

だからなのか、結構マーニーも酷いんですよね。酷いというか、現実的というか、アンナの想いとの差がありすぎるというか、怖い感じさえするというか。

 

マーニーは、アンナがどこからきて、誰なのか知っていたのかも非常に気になります。僕は上記の理由から、知っているような気がしています。

そして、それを、つまり結果的に、アンナを、サイロでだけではなく、その後の人生をもひとりぼっちにしてしまったマーニーに、最後、アンナは「許してあげる、あなたがすきよ、マーニー」とちゃんと会って伝える。

許しの物語。

僕は"外側"で起こったことが、杏奈にとってもマーニーにとっても、どうしても必要なことだったとしか思えません。

むしろ、許すために、外側に行ったと言えるのかもしれません。

杏奈は、マーニーを、両親を、信子(内側)を、そして、自分を許すために。

マーニーは、両親を、恋人を、娘を、そして、自分を許すために。

思い出のマーニーは、杏奈を救おうとする物語であると同時に、マーニーを救おうとする物語でもあるのだと僕は思います。

マーニーの杏奈に対する「あなたのことをたくさん知りたい、でも、少しずつ知りたいの」というような言葉がとても印象的だったから。

 

あと、アンナとマーニー以外の登場人物にいまいち奥行きが無いと感じたり、全体的に動きが少ないと感じたり、何か軸になるアイテムが欲しいと感じたり、ストーリーに流れやメリハリが欲しいと感じたり、前半部分を短縮してアンナとマーニーのみに絞って90分ぐらいでもよかったのではないかなどと感じたりしましたが、それでも、僕は「思い出のマーニー」が好きだなと思いました。

 

何故なら、もしかすると、それらも含めすべてが、"外側"にいる杏奈が見た景色そのものだったのかもしれないと思ったから。

 

それに多分、僕も、許したかったんだと思います。

そして、何よりずっと、許してほしかったんだと思います。

でも、それはもう、無理な事だから。

 

なんか、めちゃくちゃですいません。

僕は、今もあんまり変わっていないのかもしれません。

エゴでも何でも、映画と一緒に自身の心の揺れを自身で強く感じてしまいました。

こんなにも、泣いてしまうとは思いませんでした。

絵的なこと、背景とか、風景とか、あと、主題歌も、音楽も、声も、すごく心に染みました。

すごく好きな感じでした。すごく良かったです。

米林監督を始め、関係者の皆様、素敵な作品をありがとうございます。

小舟が屋敷につくところとか、サイロのシーンとか、最後の許すシーンは、僕を掴んでずっと離してくれませんでした。

 

僕は、杏奈が誰かに愛されているということを知ったことよりも、誰かを愛してもいいんだと知ったことのほうが、すごくすごく、うれしかった。

 

また、見に行きます。

アンナとマーニーに会いに行きます。

いや、彩香に会いに行きます!

彩香(さやか)は眼鏡っこ。

 

 

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▼思い出のマーニー公式サイト

http://marnie.jp/index.html

 

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